<高校数学>ベクトル

Aを始点、Bを終点とする矢印で表される線分ABにおいて、その位置を問題にしないで、向きと大きさだけを考えた物をベクトルという。 すなわち、位置が違っても、向きと大きさが等しい矢印ABとCDはベクトルとして同じものとみなす。

ベクトルABを \[ \overrightarrow{AB} \]

と表す。また、ベクトルは

\[ \vec{a} \] のような記号で表すことも多い。

2つのベクトル \( \vec{a} , \vec{b} \) の向きが同じで、大きさが等しいとき、 \( \vec{a} \) と \( \vec{b} \) は等しいといい、

\[ \vec{a} = \vec{b} \]

と表す。ベクトルは,平面上の任意の点を始点とするもので表すことができる。

\[ \vec{a} = \overrightarrow{AB}, \vec{b} = \overrightarrow{CD} \]

と表すと

\[ \vec{a} = \vec{b} \]

であるならば、ベクトルABを平行移動してベクトルCDに重ね合わせることができる。

ベクトル \( \vec{a} \) の大きさを

\[ |\vec{a}| \]

と表す。

\( \vec{a} = \overrightarrow{AB} \)のとき、\( |\vec{a}| \)は線分ABの長さである。特に、大きさが1であるベクトルを単位ベクトルという。

2つのベクトル \( \vec{a}, \vec{b} \) が与えられたとする。今、点Aを定め、

\[ \vec{a} = \overrightarrow{AB} , \vec{b} = \overrightarrow{BC} \]

となるように点B,Cをとると、ベクトル \( \overrightarrow{AC} \)が決まる。これを \( \vec{a} \) と \( \vec{b} \) の和といい,

\[ \overrightarrow{AC} = \vec{a} + \vec{b} \]

と表す。すなわち, \[ \overrightarrow{AB} + \overrightarrow{BC} = \overrightarrow{AC} \] である。

\( \overrightarrow{AB} \) と \( \overrightarrow{BA} \) の和を考えると、\[ \overrightarrow{AB} + \overrightarrow{BA} = \overrightarrow{AA} \]となるが、\( \overrightarrow{AA} \) は始点と終点が一致したベクトルと考える。これを、大きさが0のベクトルと考えて、零ベクトルといい、\( \vec{0} \)と表す。すなわち、

\[ \overrightarrow{AA} = \vec{0} \]

ただし、零ベクトルの向きはどのように考えても良いものとし、

\[ \vec{a} + \vec{0} = \vec{0} + \vec{a} = \vec{a} \]

である。

0でないベクトル \( \vec{a} \) に対して、 \( \vec{a} \) の向きが反対で、大きさが等しいベクトルを \( \vec{a} \) の逆ベクトルといい、 \( -\vec{a} \) と表す。このとき、次のような性質が成り立つ。

\[ \vec{a} + (-\vec{a}) = \vec{0} \]

\[ \overrightarrow{AB} = \vec{a} としたとき、\overrightarrow{BA} = -\overrightarrow{AB} \]

\( \vec{0} \) でないベクトル\( \vec{a} \) に対して、\( \vec{a} + \vec{a} \)は、\( \vec{a} \)と向きが同じで、大きさが\( |\vec{a}| \)の2倍のベクトルになる。これを、\( 2\vec{a} \)と表す。一般に、\( \vec{0} \) でない \( \vec{a} \) と正の実数\( k \)に対して、\( k\vec{a} \)を次のように定める。

\[ k\vec{a} は、\vec{a} と向きが同じで、大きさが |\vec{a}| の k 倍ベクトル \]

\[ (-k)\vec{a} は、\vec{a} と向きが反対で大きさが |\vec{a}| の k 倍ベクトル \]

ただし、\( k=0 \) のときは、

\[ k\vec{a} = \vec{0} \]

また, \( \vec{a} = \vec{0} \) の場合は、

\[ 任意の実数 k に対して k\vec{0} = \vec{0} \]

と定める。これらのことから、

\[ (-k)\vec{a} = -k\vec{a} \]

となることがわかる。特に、

\[ 0\vec{a}=\vec{0}, 1\vec{a} = \vec{a}, (-1)\vec{a} = -\vec{a} \]

である。

0でない2つのベクトル \( \vec{a}, \vec{b} \) が同じ大きさか、または反対向きのとき、 \( \vec{a} \) と \( \vec{b} \) は平行であるといい、

\[ \vec{a}//\vec{b} \]

と表すことができる。ここで、\( \vec{a} ≠ \vec{0}, \vec{b} ≠ \vec{0} \)のとき、

\[ \vec{a}//\vec{b} ならば、\vec{b} = k\vec{a} \]

となる実数 \( k \) がある。

点Oを原点とする座標平面上において、ベクトル \( \vec{a} \)に対して、 \( \vec{a} = \overrightarrow{OA} \) となる点A \( (a_1,a_2) \) とする。このとき、 \( a_1,a_2 \) を \( a \) の成分といい、 \( a_1\) を \( \vec{a} \) の \( x \) 成分、 \( a_2\) を \( \vec{a} \) の \( y \) 成分という。

\( \vec{a} \) を成分 \( a_1,a_2 \) を使って、

\[ \vec{a} = (a1,a2) \]

と表す。このことから、次のことが成り立つ。

\[ \vec{a}=(a1,a2), \vec{b}=(b1,b2)のとき、\vec{a}=\vec{b} ↔︎ a_1=b_1, a_2=b_2 \]

\[ \vec{a} = (a1, a2) のとき、|\vec{a}| = \sqrt{a_1^2 + a_2^2} \]

\(\vec{0} \) でない2つのベクトル\( \vec{a}, \vec{b} \)に対して、1点Oを定め、

\[ \vec{a}=\overrightarrow{OA}, \vec{b}=\overrightarrow{OB} \]

とするとき、 ∠AOBの大きさ \( θ \) は、 \( \vec{a}, \vec{b} \) によって決まる。これを、ベクトル \( \vec{a}, \vec{b} \) のなす角という。ただし、\( 0°≦θ≦180° \) とする。

ベクトル \( \vec{a}, \vec{b} \) のなす角が \( θ \) のとき、

\[ |\vec{a}||\vec{b}|\cosθ \]

を \( \vec{a} \) と \( \vec{b} \) の内積といい、 \( \vec{a}・\vec{b} \) と表す。さらに、

\[ \vec{a}=(a_1,a_2),\vec{b}=(b_1,b_2)のとき, \vec{a}・\vec{b} = a_1b_1 + a_2b_2 \]

となる。また、

\[ \cosθ = \frac{\vec{a}・\vec{b}}{|\vec{a}||\vec{b}|} = \frac{a_1b_1+a_2b_2}{\sqrt{a_1^2+a_2^2} \sqrt{b_1^2+b_2^2}} \]

となる。